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日外会誌. 81(11): 1468-1475, 1980


原著

閉塞性黄疸における糖負荷時のインシュリン,グルカゴン反応とそのhepatic extraction

1) 国立横浜病院 外科
2) 横浜市立大学 第2外科

小林 衛1) , 嶋田 紘2) , 佐藤 一美2) , 鬼頭 文彦2) , 新明 紘一郎2) , 阿部 哲夫2) , 土屋 周二2)

(昭和55年2月18日受付)

I.内容要旨
閉塞性黄疸41例(平均血清ビリルビン値16.5±9.8mg/dl,胆石症14例,胆管癌14例,膵頭部癌13例)を対象に,経口的ブドウ糖負荷試験による耐糖能とインシュリン反応を, 一部の症例にはグルカゴン反応を調べた.健常者15例を対照とした.
閉塞性黄疸例の耐糖能およびインシュリン反応は対照例に比べて低下していたが, グルカゴン反応に関しては対照例と著しい差はなかつた.
次に, 2週前の総胆管結紮により作成した閉塞性黄疸犬8頭(平均血清ビリルビン値5.2±1.2mg/dl)に静脈麻酔下で十二指腸内にブドウ糖(1g/kg体重)を投与して,門脈血および末梢静脈血のインシュリンとグルカゴンの動態を調べた.なお無処置犬7頭を対照とした. 黄疸犬における門脈血インシュリン反応は,糖負荷直後対照犬に比べて低いものも,全体には対照犬より優位にあった. しかし末梢静脈血インシュリン反応は対照犬より低かつた. グルカゴン反応に関しては,黄疸犬と対照犬では差はなかつた.一方黄疸犬においてはインシュリンおよびグルカゴンの門脈血末梢静脈血隔差が対照犬より大きかつた.いいかえれば閉塞性黄疸では両ホルモンとも末梢静脈血門脈血比が小さく,両ホルモンのhepatic extractionが亢進していることが推定された.
これらの事実は,両ホルモンのhepatotrophic factor とhepatic exraction との関連性を示唆していると思われる.

キーワード
閉塞性黄疸, ブドウ糖負荷試験, 耐糖能, インシュリン反応-グルカゴン反応, hepatic extraction

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