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日外会誌. 81(11): 1461-1467, 1980


原著

胃全摘後ρ吻合における空腸粘膜の形態学的変化について

弘前大学 医学部第2外科

小澤 正則 , 杉山 讓 , 大内 清太

(昭和55年2月17日受付)

I.内容要旨
胃全摘後ρ吻合法におけるloop 内空腸粘膜の形態学的変化を検討するため,術中に標本を採取した28例(対照群)とρ-loop 内から生検により得られた14例(術後群)を対象に実体顕微鏡ならびに光学顕微鏡的観察をおこなった.
まず実体顕微鏡を用いて観察した.1mm2当りの絨毛個数をみると, 対照群21.2±3.8個に対して術後群では9.7±1.8個と有意の減少がみられた(p<0.05). またこれらの絨毛形態とその比率では,対照群が指状絨毛25.7±16.0%,葉状絨毛67.1±15.1% に対して術後群では指状絨毛10.1±7.8%, 葉状絨毛84.2±8.5%を示し指状絨毛の減少と葉状絨毛の増加が認められた(p<0.01).さらにScott らの分類に準拠して絨毛形態から術後粘膜の萎縮程度を評価すると“subnormal”と判断された.
次に光学顕微鏡により観察をおこなった.絨毛高の計測では対照群が524±87μm,術後群は307±57μmを示し,術後の絨毛に有意の短縮がみられた(p<0.01). また術後群の絨毛高をみると正常(300μm以上)を示したものは57%で,残る43%はShiner and Doniach分類から“partialvillous atrophy”と判定された. さらに粘膜固有層における組織所見では,術後群において浮腫,細胞浸潤の増強, リンパ管拡張,充血などがみられたが,線維化など“irreversihie”な慢性炎性所見は明らかでなかつた.
以上の結果より,ρ吻合法におけるloop 内空腸粘膜は実体顕微鏡ならびに光学顕微鏡を用いた観察方法では共に“minor change”を示すことが判明した.

キーワード
胃全摘術, ρ吻合法


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