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日外会誌. 81(10): 1342-1352, 1980


原著

慢性膵炎における膵腸吻合術前後の膵内外分泌動態に関する実験的研究

金沢大学 第2外科(指導:宮崎逸夫教授)

吉田 通章

(昭和55年1月14日受付)

I.内容要旨
慢性膵炎における膵腸吻合後の残存膵機能については, まだよく知られていないのが現状である.
著者は実験的にイヌの大膵管を結紮すること(不完全膵管結紮)により慢性膵炎を作製し,これをモデルとして膵腸吻合を行い,膵腸吻合術前後の膵内外分泌機能の推移について検索した.膵液欝滞負荷の期間すなわち膵管結紮期間(1・2・3カ月)により種々の程度の慢性膵炎を作製し,一定期間(2 ・ 3カ月)後に膵液欝滞解除すなわち膵腸吻合を施行した. 同一犬について正常時(膵管結紮前).膵腸吻合時・回復時(膵腸吻合後)の各時期にPS試験を行った.その結果,膵外分泌機能は吻合時の状態が吻合後もよく維持されていた.また糖負荷試験では,膵管結紮後3カ月までの膵腸吻合では吻合後も正常状態が維持されていた.組織学的にも膵の線維化は抑制され,炎症性細胞浸潤は軽減されていた.
以上の実験結果から,慢性膵炎の治療法として早期に膵腸吻合を行えば行うほど,吻合後も良好な状態が維持されると考えられた.

キーワード
実験的慢性膵炎, 実験的膵石症, 不完全膵管結紮, 膵腸吻合, 膵機能の回復能

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