[書誌情報] [全文PDF] (6471KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 81(8): 756-765, 1980


原著

小児肝癌切除に関する臨床的研究

北海道大学 第1外科

秦 温信 , 葛西 洋一 , 内野 純一 , 手戸 一郎

(昭和54年11月15日受付)

I.内容要旨
最近20年間に北海道大学第1外科で経験した小児肝癌切除例11例について検討した.
1. 小児肝癌の切除率は61%で,前半10年間の生存例はなく,後半10年間では切除例5例中2例の治癒期待例がある.
2. 肝切除後3日で総ビリルビン, GOTが著しい上昇をみるもの, 2 ~ 4週でアルカリフォスファターゼの著しい上昇のみないもの,あるいは総コレステロールの上昇をみたものは再発した.
3. 治癒が期待されるものは組織型構成が高分化型50%以上を占めるものであつた.
4. 肝芽腫の腫瘍単位g重量当りの血清AFP値は低分化型で約0.3μg/ml,高分化型では約0.04μg/mlであった.
5. 肝切除後の血清AFP半減期では2.5日以下のものが治癒期待でき, 4.6日以上のものは再発した.
以上より,本症の治療成績向上のためには,拡大手術と術後管理の改善などが必要である.また予後に関与する組織型が術前の血清AFP値よりある程度推定され,術後AFP の半減期と術後肝機能の推移は予後の判定に有意義であった.

キーワード
hepatoma, hepatoblastoma, children, hepatectomy, α-fetoprotein

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。