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書誌情報]
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日外会誌. 81(8): 701-713, 1980
原著
慢性閉塞性動脈疾患における免疫学的研究
-細胞性免疫について-
I.内容要旨大動脈炎症候群の成因はまだ明らかでないが現在では自己免疫説が広く支持されている.系統的血管病変をともなう自己免疫疾患の発生には液性免疫とともに細胞性免疫の関与がきわめて重要である.この観点より,最近2年間にわれわれの教室で経験した慢性閉塞性動脈疾患127例(大動脈炎症候群20例, Buerger病54例,閉塞性動脈硬化症53例)について細胞性免疫の面より検索し次の成績を得た.
1. 遅延型皮膚反応
1) ツベルクリン反応は大動脈炎症候群に陰性例が多く, とくにその活動期群では75%を占め著明に低下していた.
2) PHA皮内反応は大動脈炎症候群の活動期群で全例陰性であった.
3) DNCB皮膚反応は大動脈炎症候群の活動期群では半数が陰性で低下していた.
2. 末梢血T細胞含有率
大動脈炎症候群は有意に減少しており, とくに活動期群での減少が著明であつた.
3. 末梢血B細胞含有率
各群間に有意差を認めなかつた.
4. PHA リンパ球幼若化率
大動脈炎症候群は有意に低下しており, とくに活動期群での低下が著明であつた.
5. 白血球遊走阻止試験
大動脈炎症候群の活動期群の2例が陽性であつた.
以上の結果より大動脈炎症候群で, とくにその活動期群で細胞性免疫能の低下が著明であり,病変の進展に免疫学的機序の関与が強く疑われた.しかし, Buerger 病および閉塞性動脈硬化症では免疫の関与を支持する明らかな成績はえられなかつた.
キーワード
大動脈炎症候群, 遅延型皮膚反応, T cell, リンパ球幼若化率, 白血球遊走阻上試験
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