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日外会誌. 81(6): 511-526, 1980


原著

胆囊疾患の血管造影学的研究
-特に胆囊陰性例に対するProstaglandin E1 使用 Pharmacoangiographyと胆囊壁における微細血管像について-

久留米大学 第2外科教室(主任:古賀道弘教授)

三好 敦生

(昭和54年8月18日受付)

I.内容要旨
直接および間接胆道造影法における胆僅陰性例の検査法として,Super Selective angiography,Prostaglandin E1使用Pharmacoangiography と直接2倍拡大撮影法を施行し, 胆嚢疾患の質的診断を行つた.また,摘出胆嚢の血管造影と拡大撮影像の対比, Microangiographyおよび透明標本像を作製し,胆嚢壁における微細血管像に検討を加え,術前血管造影像の判読へ反映をはかつた.対象としたのは胆嚢陰性50例,陽性20例,正常胆嚢15例である.
Pharmacoangio. とConventional angio.とを比較すると, 陰性例では胆嚢動脈造影率は94.0%,88.0%であり,胆嚢動脈分枝の出現はPharmacoangio.の方が平均2~3次分枝の末梢まで造影された.胆嚢壁濃染率は74.0%,42.0%であり,診断的価値のある完全なる壁全周像は80.0%, 42.0%であった.以上の如くPGE1は著明な造影能の改善をきたした.陽性および正常胆嚢例においても同様な結果を示した.
拡大撮影法はConventional,Pharmacoangio.にて異常を疑つた22症例に適用したが,悪性病変の存在の有無の判定が81.9%に可能であり,Pharmacoangio. よりも平均1~2次分枝の末梢枝までの所見の判読ができた. 3種の血管造影法での正診率は Conventional angio. 72.1%,Pharmacoangio. 86.8 %, 拡大撮影法を加えると94.0%となつた.また,陰性例には同時に超音波検査法がなされており,両者の比較検査を試みたが,優劣のつけがたい結果であつた.
切除胆嚢における血管造影, Microangio.,透明標本像より胆嚢壁における微細血管像と組織像との対比を行い,胆嚢疾患別の特徴的血管像をまとめた.拡大撮影法は100~200μ径の微細血管の所見の判読に適しており,腫瘍血管の判読も胆嚢癌7例中6例 (85.7%) に可能であつた.

キーワード
Prostaglandin E1, Pharmacoangiography, 拡大撮影法, 胆囊癌, 腫瘍血管


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