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書誌情報]
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日外会誌. 81(3): 256-263, 1980
原著
膵囊胞
-自験18例を中心に-
I.内容要旨膵嚢胞は,比較的稀な疾患とされているが,近年,その報告例も次第に増加の傾向にある.しかし,なお,本症の診断,治療等に種々の問題が残されている.
昭和43年8月から昭和53年9月迄に当外科で経験した本症18例を対象とし,検討を加えた.
Howard らの分類によると,仮性嚢胞が14例(77.5%)で, そのうち膵炎後に続発したもの11例、(78.6%),外傷後に続したもの2例,残り1例は手術時に偶然発見された.真性嚢胞は4例(22.2%)で, うち貯留性嚢胞2例,嚢胞腺腫1例,嚢胞腺癌1例であった.性別では,仮性嚢胞は男性に多く,平均年齢は43.9歳であつた.
臨床症状としては,腹痛が94.4%と最も多く,次いで腹部腫瘤が88.9%にみられた.腫瘤触知部位は,左右の季肋部,心窩部に多く,その大きさは手拳大,小児頭大と比較的大きいものであつた.
術前診断としては,臨床所見の他, 血中, 尿中のamylase の上昇が仮性嚢胞の70%にみられ,特殊な例では,胸水中の高amylase値により診断し得た.その他,逆行性膵管造影, C.T.-scan等の種々の検索方法によつて,術前の診断率は72%であつた.発生部位は,仮性嚢胞は10例が体尾部に, 3例が頭部に,1例は膵瘻形成を伴なつた縦隔洞嚢腫で,真性嚢胞は全例体尾部にみられた.発育経路は,胃結腸型が70%と最も多くみられた.
治療法としては,仮性嚢胞では嚢胞剔出2例,外瘻造設術4例,嚢胞胃吻合1例,膵頭十二指腸切除術1例で,残り6例は, 1例を除いて自然消失した.真性嚢胞では腫瘤剔出術を3例に施行し,嚢胞腺癌の1例は試験開腹に終つた.
以上,われわれの経験した成績に加えて,過去10年間の本邦報告例についても検討した.
キーワード
仮性囊胞, 真性囊胞, 診断法, 治療方法, 合併症
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