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日外会誌. 81(2): 133-146, 1980


原著

急性閉塞性化膿性胆管炎におけるショックの発来と細菌性囚子に関する研究
-とくに無菌動物を使用して-

日本医科大学 第1外科学教室大学院生(主任:代田明郎教授)

鄭 淳

(昭和54年6月5日受付)

I.内容要旨
わが教室においては,長年にわたり胆石症および胆嚢炎を中心とする胆道疾患患者の胆汁および腸管内細菌について研究し,閉塞性黄疸患者の最も重篤な合併症の一つである急性化膿性胆管炎のさい発来するショックには,胆道より血中に出現する大腸菌を中心とするグラム陰性桿菌のendotoxinが一つの極めて重要な因子であることを臨床的ならびに実験的に立証,報告してきたが,従来の普通動物を用いた胆道感染実験では腸管由来の細菌性因子を否定し得ないため,胆道由来の細菌性因子のみの影響をみることは全く不可能であつた.
そこで今回,腸管内細菌はもちろん,体内に細菌を全く欠如するJCL:SD系無菌ラットを5群に分かち,総胆管を結紮閉塞すると同時にI群はEC群としE. coli O-26を,II群はEX群とし同菌由来のendotoxinを,III群はBF群としBacteroides fragilisを, IV群は混合群としE. coli O-26とBacteroides fragilisを混合,それぞれ閉塞上部胆管内に注入, V群は対照群として生理食塩水を同様に注入し,各群の生存時間,血中の細菌およびendotoxinの検索,肝,腎機能,主要諸臓器の組織形態学的変化を追求するとともに, anti-endotoxinrabbit IgG peroxidaseを用いた組織酵素抗体法により肝, 腎両組織内のendotoxinの局在を検索して胆道由来の細菌性因子について研究した.

キーワード
急性閉塞性化膿性胆管炎, 無菌動物, 大腸菌, エンドトキシン, 酵素抗体法


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