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日外会誌. 81(1): 78-88, 1980


原著

甲状腺機能亢進症術后再発に対する再手術

*) 岩手医大 第1外科
**) 山形大学 医学部第1外科

佐々木 純*) , 島田 克己*) , 加藤 典博*) , 西成 忍*) , 神 俊一*) , 奥野 豊*) , 瀬田 孝一*) , 高橋 真二**)

(昭和54年4月12日受付)

I.内容要旨
岩手医大第一外科で過去30年間に甲状腺亜全剔を行なつた甲状腺機能亢進症860例中17例(2.0%)が再発した.
再発した症例の初回手術時平均甲状腺残存量は10.4gで我々がふつう標準としている残存量8~10gより少し多かつた.
再発症例はBMRか131I摂取率のいずれか,あるいは両方が初回手術の退院時に高い症例が多かつた.それは彼らが再発と云うよりは,不充分な甲状腺切除によつて生じた不完全治癒から発展したものではないかと疑わせる.
当科で手術し再発した17例のうち12例と,他の病院で手術され再発した5例と合せて22例に再手術を行なつた.
その再手術された症例中9例はeuthyroid となつたが3例は機能低下, 4例は再再発を来した.
多くの論文は再手術後の再再発の頻度が高いので,再発は再手術するべきではなく,放射性ヨードの適応であると云つている. しかし我々の成績は残存甲状腺量が適当であれば,治癒し得ることを示している.再手術後の甲状腺機能と残存甲状腺量を較べてみると,至適残存量は約5gとなる.それは初回手術時の至適残存量8~10gよりはるかに少ない量である.
テタニーと嗄声は7例に起つた.それは初回手術時より高い頻度である.
再手術時における甲状腺腫の組織像は,初回手術時より小胞上皮の増殖はよりはげしく,小胞の大きさが著しく大きくなつているものが多かつた.
合併症が多いので再発甲状腺機能亢進症の再手術は若い人か,大きな甲状腺腫を持つた症例に限られるべきである.それらに対しては放射性ヨードはすすめられないか,あるいは著効がないからである.
再発甲状腺機能亢進症の再手術に当つては大量出血に特に注意し,残存甲腺量は小さくするべきである.

キーワード
Thyrotoxicosis, Recurrent thyrotoxicosis, 再発甲状腺機能亢進症, 甲状腺機能亢進症術後再発, 再発バセドウ病再手術

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