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書誌情報]
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日外会誌. 81(1): 39-46, 1980
原著
僧帽弁置換症例における肺動脈楔入圧による血行動態の評価
I.内容要旨開心術の進歩に伴い弁膜疾患に対する治療として弁置換術が広く行われるようになつたが,各種人工弁の機能,循環動態および術後合併症には未だ解決すべき問題が多い.著者は肺動脈楔入圧波形(以下PWP) を測定することにより弁置換術後の循環動態及び術後経過を観察することを本研究の目的とした.
研究対象並びに研究方法教室において施行せられた弁置換症例85例のうち僧帽弁置換術(以下MVR)65例についてSwan-Ganz Catheterを挿入してPWPを検討し, 各種人工弁の機能,循環動態及び術後経過を観察した.
成績
1) 無害性雑音症例のPWP波はa, v波とx, y谷を示した.
2) 僧帽弁狭窄症(以下MS)症例のPWP波形は洞調律の場合にはa, c波及びv波よりy谷へのゆるやかな傾斜,心房細動の場合はa波の消失,x波の平担化,僧帽弁閉鎖不全症(以下MR)症例のPWP波形では巨大なv波を認めた.
3) PWP波形は左房圧(以下LAP)波形に相似し,PWP波のa波はLAP波のそれより0.11±0.02秒の遅延が認められた.
4) MVR後のPWP波はNormal Patternを示すI群,高いa波を示すMS PatternのII群,高いv波を示すMR PatternのIII群に分類され, Il IlI群はさらにPWP 40mmHg未満のa群と40mmHg以上のb群に分けられた.
5) Kay-Shiley弁(以下K-S弁), Björk-Shiley弁(以下B-S弁)はI群ないしIII群を示し, Xenograft(以下Xeno弁)はI群ないしII群を示した.
6) MVR後PWP波形がI群を示した症例では術前平均PWPは低値であったがIIb群およびIIIb群は高値を示した.
7) MVR後の平均PWPはI,II,III群ではIIb群及びIIIb群を除きいずれも略々正常値を示した.
8) MVR後のPWP波形Pattern と術後1年経過時心胸比の増減は, I群, IIa群,及びIIIa群では全例減少したが, IIb群及びIIIb群では増加した.
キーワード
僧帽弁置換術, Swan-Ganz Catheter, 肺動脈楔入圧波形, 人工弁機能
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