日外会誌. 28(9): 1115-1134, 1927
その他
動物流血中喰菌作用ヲ指標トスル非特異性抗原ノ生體細胞賦活作用判定方法ノ實驗的基礎
（非特異性抗原ニ關スル生物學的硏究第一報）
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大阪醫科大學 岩永外科敎室 助手 醫學士（勝呂博士指導） 黑田 倭民 |
非特異性抗原ノ一ツタル「オムナチン」ヲ〇.〇八、〇.一、〇.四竝ニ〇.八竓ノ四段ニ分チテ各群三頭宛ノ海猽ヨリナル四群ノ動物ノ皮下ニ注射シ十五分經過後白色葡萄狀球菌二十四時間中性寒天培養ノ食鹽水浮游液一.〇竓（菌量約〇.〇〇二八竓）ヲ頸靜脈内ニ輸送シ時ヲ經ルコト十五分、三十分、一時間、二時間、四時間竝ニ六時間目ノ六囘ニ亙リ血液ヲ採リ流血中喰菌作用ノ狀態竝ニ單位容積血液中ノ廣義喰細胞數ノ推移ヲ觀察シテ次ギノ結果ヲ得タリ。
（一）非特異性抗原液（「オムナヂン」）分量ヲ〇.〇八ヨリ〇.一竓ニ增加シタルニ喰菌作用反應ノ程度モ血中單位容積内廣義喰細胞總數モ抗原液分量ノ增大ト一致連行シテ增大シ行ケリ。然ルニ、
（二）同一非特異性抗原液（「オムナヂン」）分量ヲ〇.一ヨリ〇.四及び〇.八竓マデ增大セシメタルニ喰菌作用ハ〇.四及ビ〇.八竓ニテハ〇.一竓ノ場合ヨリモ却ツテ減弱シ行キタルニモ拘ラズ血中單位容積内廣義喰細胞總數ノミハ「オムナヂン」〇.四、〇.八竓ト增大ニ順應シテ一致連行增大シ行キタリ。
（三）卽チ非特異性抗原液（「オムナヂン」）ヲ動物體内ニ注射シタルガタメニ生體内ニ惹起セラルヽ反應ハ二種ニ分解セラレタリ。甲ハ卽チ喰菌作用ヲ標徴シ、是レ正シク非特異性抗原液ノ呈スル抗原性反應ナリ。乙ハ卽チ血中廣義喰細胞總數ノ推移ニシテ、是レ正シク非特異性抗原液ノ毒性ヲ示ス毒性反應ナリ。
（四）而シテ非特異性抗原液分量ガ一定限度（「オムナチン」ノ場合ハ〇.一竓）以上ニ增大セラレ、爲ニ非特異性抗原液ノ呈スル抗原性反應ガ却ツテ減弱シ來ル時ニアリテモ、其ノ毒性反應ノミハ尚且ツ抗原液量ノ增大卜連行シテ增大シ得ルモノナリ。
（五）コノ抗原性反應ヲ指標トナシテ非特異性抗原能働力（細胞賦活作用乃至喰菌作用）ノ二五％内外ノ移動ヲモ檢出シ得タリ。
（六）同樣ニ毒性反應ヲ指標トナシテ非特異性抗原毒力ノ一八％内外ノ增減ヲ指示シ得タリ。
以上の實驗竝ニ實驗結果ヨリシテ余等ハ生體細胞賦活作用竝ニ毒力ノ大小强弱ヲ喰菌作用及ビ血中白血球絶對數ノ大小强弱ヨリシテ判定スルノ實驗的基礎ヲ確立シタルモノト信ズ。
夫レ非特異性抗原ガ細胞ヲ賦活スルトカ原形質ヲ賦活スルトカ稱スルモ非特異性抗原ノ毒力トソノ細胞賦活作用トノ關係ヲ純正學術的ニ研究シコレガ判定ノ方法ヲ攻究セザルガ如キハ非學術的ノ甚シキモノト謂フベシ。
而シテ以上ノ所見ハ恩師勝呂博士ノ特殊抗原ニ就テノ實驗結果ト符節ヲ合セタルガ如ク一致シ居ルモノニシテ今後コノ方面ノ研究ニ向ツテ有力ナル基礎的所見ヲ確立セルモノナリ。
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