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日外会誌. 123(6): 518, 2022

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特集

ロボット支援下手術の現況と展望

1.特集によせて

国立病院機構九州医療センター 呼吸器外科

山﨑 宏司



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ロボット支援下手術は2012年4月の前立悪性腫瘍の保険収載に始まり,現在では胸部・腹部外科さらには頭頚部外科などの多岐分野に適応が拡大している.多くの施設ではすでに導入の時期から成長,成熟の時期に入っており,それぞれの分野において技術の応用,発展がなされている段階であると考える.
本企画では各分野でご活躍されるエキスパートにお願いして,導入期から現在,そして将来におけるロボット支援下手術の動向をわかりやすくまとめていただいた.安全性や実行性の向上への具体的な策として,デバイスの有効な活用,アプローチ法の開発,手技の定型化,トレーニングシステムの開発,チームの熟練など,各施設で様々な工夫がなされており,それらを通して良好な手術成績への寄与が明らかにされてきている.また,導入早期には早期癌などの単純な症例が適応とされていたが,現在ではロボット支援下手術の利点を活用して進行癌,術前治療症例,サルベージや再手術など高難度症例への適応拡大が徐々になされている.
今後は手術支援ロボットの新規参入と技術競争が進むことでロボットやデバイスのさらなる性能向上や新たな機種,機能が加わり,現在は研究開発の段階である超高速通信による遠隔手術や,完全に自動化された手術などの実現もそれほど遠い未来の話ではないと期待される.
本企画を通して各分野でのロボット支援下手術の発展と方向性を読み取り,この技術がもたらしている新たな外科を考える機会に出来れば幸いである.

 
利益相反:なし

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