日外会誌. 123(5): 374-375, 2022
会員へのメッセージ
邦文誌編集委員会の歴史とこれから
日本外科学会邦文誌編集委員長,高槻赤十字病院外科 平松 昌子 |
この度,伝統ある日本外科学会雑誌Journal of Japan Surgical Societyの編集委員長を拝命致しました.これを機にこれまでの歴史を振り返り,これからの本委員会の役割について私見を述べさせていただきます.
日本外科学会120年記念誌によると,1899(明治32)年に「第1回日本外科学会総会」が開催され,翌1900(明治33)年4月に「第1回日本外科学会誌」が創刊されたのが本学会邦文誌の始まりです(図1)1).当初は年1回の発刊であったようですが,1919(大正8)年に月刊誌となりました.編集は常任幹事のうち1名の編纂幹事の教室が主体となって行っていましたが,1960(昭和35)年に「会誌編集委員会」が発足し,清水健太郎先生が初代委員長を務められたとの記録があります2).さらに1971(昭和46)年にThe Japanese Journal of Surgeryが創刊され,これが1992(平成4)年にSurgery Todayと名称が改められるなかで3),日本外科学会雑誌のその後の在り方についてのアンケート調査が行われました.この結果を基に編集方針は改定されることとなり,1994(平成6)年3月をもって邦文誌への一般原著論文の投稿は打ち切られ,原著論文は英文誌に掲載の場を譲ることとなりました.1995(平成7)年,北島政樹先生が編集委員長をお務めの時に現行に近い形の「邦文誌編集委員会」となり,1996(平成8)年発刊の第97巻第1号から本誌は一新され,掲載内容は特集その他の企画論文や会員への情報発信が中心となりました.その後2014(平成26)年に金子公一編集委員長の下で表紙も再びリニューアルされ,内容も一部新たなものが追加されて現在に至っています(表1)4).
私自身はこの2014年の「新邦文誌編集委員会」発足の際に委員に加えていただき,以降いくつかの企画を担当致しました.その都度最新の知見を学び,今求められているトピックに頭を悩ませ,多くのエキスパートの先生方のお力を借りながら完成させた後,先輩の先生方から「あの特集,良かったよ.」などのお声をいただいたときは,非常に嬉しかったのを記憶しています.
現在は「特集」を中心に,「Editorial」,「会員へのメッセージ」,「先達に聞く」,「若手外科医の声」,「理想の男女共同参画を目指して」,「会員のための企画」,「手術のtips and pitfalls」などを掲載しています.基本的にはこれらの企画は継承しながらも執筆者の選定方法などをさらに工夫し,幅広いテーマを網羅できるように努めていきたいと思います.また本誌がどのような年代の会員の方にどの程度読まれているのか,興味を持ってもらえる内容はどういったものか,等の調査も必要と考えています.
今回本委員会の歴史を振り返る中で歴代編集委員長の蒼々たるお名前を拝見し,改めて責任の重さに身の引き締まる思いです.本誌に関してのご意見やご要望などありましたら,是非学会事務局までご連絡いただければと存じます.
利益相反:なし
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