日外会誌. 123(4): 351, 2022
会員のための企画
「アメリカで外科医として働く」によせて
東京大学医学部附属病院 心臓外科 平田 康隆 |
医師の留学には主に研究留学,臨床留学の二つがあるが,最近ではアメリカを中心に,臨床留学する医師も増え,また,数年で帰国するのではなく,海外でスタッフポジションを得てそのまま働き続ける者も私の周りでもよくみかける.インターネットの発達,さらにはコロナ禍によって,海外とのオンラインでの情報交換は以前にないほど強まっており,海外の学会なども日本にいながら参加できるようになった.しかし,「臨床」はオンラインでは不可能である.日本の外科の成績は非常に優れており,優れた外科医となるために必ずしも海外への留学が必要だとは言えないが,海外でしか得られないものもあるのは事実であろう.今回の企画「アメリカで外科医として働く」の著者,北原大翔氏は日本で心臓外科医として研鑽を積んだ後,渡米し,フェローシップを経たあと,現在シカゴ大学でスタッフの心臓外科医として勤務しているが,それと同時に,日本にいる若手の医師や学生にむけて留学医師のための情報提供を,YouTubeを中心に継続的に行っており,そのバイタリティには脱帽せざるをえない.この活動は,海外で医師として働くという新たな選択肢を若手の医師や学生のために与え,モティベーションの向上に高く寄与している.今回の企画では,アメリカで外科医として働くために必要な知識,手続きなどについて,最新の情報を踏まえて詳しく解説いただいた.若手の医師や学生が外科というフィールドに興味を持ち,そして,日本国内だけにとどまらず,海外も視野にいれて飛翔するための一助となれば幸いである.
利益相反:なし
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