日外会誌. 123(3): 270, 2022
会員のための企画
「地域におけるがん医療ネットワークの構築を目指して~日本癌治療学会認定がん医療ネットワークナビゲーター制度~」によせて
国立病院機構九州がんセンター 呼吸器腫瘍科 庄司 文裕 |
本邦において2007年4月1日に施行された「がん対策基本法」の基本的施策の一つに「がん医療の均てん化の促進」が掲げられている.その中で「がん医療に関する情報の収集提供体制の整備」が取り上げられている.現在,「がん対策基本法」により全国に都道府県がん診療連携拠点病院ならびに地域がん診療連携拠点病院が指定されているが,この拠点病院の指定要件の一つとして,がん患者・家族に対する情報提供・相談・支援を主な役割とする「がん相談支援センター」の設置が義務づけられている.しかしながら,こうしたがん診療拠点病院制度そのものや「がん相談支援センター」に対する国民の認知度は低く,本体制も十分に機能しているとは言えない状態であった.つまりがん患者・家族が,がん診療連携拠点病院に配置されているがん相談員にまで辿り着けず,結果,十分な相談や支援が行われないという問題点が明らかになった.
このような状況を打破し,がん患者・家族をがん相談員に繋ぐ人材を育成することを目的として,2014年,日本癌治療学会では「がん医療ネットワークナビゲーター」認定制度を構築した.現在,約700名が「がん医療ネットワークナビゲーター」として認定されているものの,その制度や存在に関して国民は勿論のこと,がん診療を行っている医師にも広く認知されているとは言い難い.
そこで今回,日本癌治療学会がん診療連携・認定ネットワークナビゲーター委員会の広報ワーキンググループ委員長である著者に本制度の概要や取り組みについて解説いただいた.
本企画ががん診療に携わっている会員の皆様の日常診療の助けになれば幸甚である.
利益相反:なし
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