日外会誌. 123(2): 186, 2022
会員のための企画
「外科領域における医工連携と医療機器開発」によせて
広島大学大学院 医系科学研究科消化器・移植外科学 小林 剛 |
画像解析技術の進歩により外科手術のシミュレーションやナビゲーション手術が普及し,AIやスマート手術室の導入は,さらに安全で確実な手術に寄与すると考えられる.また国産手術支援ロボットが臨床に登場し,さらに洗練された手術が期待されている.
このような医療技術の進歩には新たな医療機器開発が欠かせない.外科領域における治療成績は改善したが,日常診療の中には依然として解決されていない臨床的問題も残されている.外科医はこうしたニーズに気づくことはできるが,往々にして解決するシーズを持っていない.医療機器の開発には,機器開発のシーズを有している工学研究者の知識や技術が不可欠で,医療者と工学研究者との協同が重要となる.
そこで,医工連携による新規医療機器開発の第一人者としてこの領域を牽引される,神戸大学大学院医学研究科外科学講座肝胆膵外科学分野教授福本巧先生に,「外科領域における医工連携と医療機器開発」というタイトルでご執筆いただいた.神戸大学先端融合研究環医療デバイス実装医工学研究のプロジェクトリーダーで,「医のニーズ」と「工のシーズ」を有機的にブレンドし,新しいものづくりにつなげる医工連携の現状と課題について,欧米と日本の違いも含めて非常にわかりやすく解説していただいている.外科医にとっての医工連携はどういうものか,どのように機器開発を実用に繋げられるのか,ぜひご一読いただき,理解を深めていただきたい.
利益相反:なし
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