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日外会誌. 122(4): 411, 2021

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会員のための企画

「外科医だからできる国際医療貢献」によせて

藤田医科大学 医学部呼吸器外科学講座

松田 安史



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新型コロナウイルス感染の蔓延により,これまで日常にあった風景が日常ではなくなった.街の薬局でマスクや消毒液が無くならないように,生産,流通,販売等に多くの人々が関わり,われわれの生活が支えられていることを自覚するようになった.日常診療もまた然りである.病院で処方や注射をオーダーして実施してもらうためには,薬品の製造,流通,院内での保管や調剤,注射の実施など多くの人の手を経なければならない.日本で起きていることは世界でも同様である.新型コロナウイルスの世界的な蔓延により世界中の医療機関に負荷がかかり,日常診療に支障が出ている地域もある.メディアでは先進国と言われる国の状態が報道されることが多いが,それ以外の途上国はどうであろうか.イエメンでの内戦,シリアでの戦争など世界各地で起きている紛争や,エボラやコロナのウイルス蔓延,地震や豪雨などの災害,アフリカやアジアにおける食糧や医薬品の不足,医療従事者の不足など,医薬品の生産,流通,医療体制が十分でない地域も,先進国以上に医療が困難になっているであろう.
外科手術という技術を持っているわれわれ医師を必要としているところは,この日本にとどまらず世界各地にある.紛争や災害が発生した場所だけでなく,感染症の蔓延地域や医療体制が十分でない地域でもきっと必要とされている.国際医療貢献は,私が医師を目指すきっかけでもあったが,実際自分にもできるのだろうか.派遣期間は?実施する場所は?ボランティア?などいくつも疑問が浮かんでくる.そんな疑問に答えてくれるのが,今回の企画である.執筆を依頼したジャパンハートは,多くのメディアで取り上げられ高い評価を受けている.そしてその活動は医師看護師など医療従事者のみならず多くの人々が参加し,医療に恵まれていない場所に暮らす人々の救いとなっている.今回の企画が国際医療貢献を考えている会員のお役になれば幸いである.

 
利益相反:なし

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