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日外会誌. 122(3): 347-351, 2021

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手術のtips and pitfalls

Valve in valve TAVRのtips and pitfalls

東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
虎の門病院 循環器センター外科

田端 実



キーワード
大動脈弁狭窄症, 大動脈弁閉鎖不全症, 経カテーテル大動脈弁置換術, 再手術, 生体弁

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Ⅰ.はじめに
Valve in valve TAVRとは劣化によって狭窄または逆流を来した大動脈弁位の外科的生体弁の中にカテーテル弁を植え込む治療であり,外科的再大動脈弁置換術のリスクが高い症例に対して行われる.劣化したカテーテル弁の中にカテーテル弁を植え込む手技も存在するが,2020年12月現在本邦では承認されていない.Valve in valve TAVRはTAVRに精通した医師であれば手技的難易度は高くなく,術前の適応判断やプランニングが極めて重要である.
適応判断で注意すべき点は,手技後のpatient-prosthesis mismatch(PPM)と冠動脈閉塞を回避すべき点である.元の外科的生体弁サイズが小さい症例にvalve in valve TAVRを行うと,術後のPPM頻度が高くなるだけでなく,生命予後も不良であることが知られており1)そのような症例には適応を慎重に決める必要がある.外科的生体弁のフレームを破砕して広げる方法はあるが,本邦ではフレーム破砕に必要な硬いバルーンが承認されておらず実施できない.小さい外科生体弁に対してvalve in valve TAVRを行う場合は,バルーン拡張型カテーテル弁よりも自己拡張型カテーテル弁を使用するほうがPPM頻度が低いと示されている1).冠動脈閉塞の予測には後述するCT上のvirtual THV-coronary(VTC)distanceが用いられる(図1).VTC distanceが短く冠動脈閉塞リスクが高い症例に対して,外科的生体弁葉を切開して冠動脈閉塞を防ぐ手技が提唱されているが2),まだ安全性が確立され普及しているとは言えず,VTC distanceが短い症例にも適応を慎重に決める必要がある.その他にも年齢や手術リスク,血管アクセスなどは適応判断に欠かせない情報である.
適応判断にも手技プランニングにも欠かせないのが,前回手術で使用された外科的生体弁の種類とサイズを同定することである.手術記録は100%正確ではないためCTや弁透視で確認する必要がある.外科的生体弁の種類とサイズが同定できれば,使用するカテーテル弁サイズがおのずと決まる.カテーテル弁のサイズ選択には,Valve in Valve Aorticアプリ(図2)が有用である3).スマートフォンに無料でダウンロードできるこのアプリは,透視像所見から外科的生体弁を同定するのに役立ち,また外科的生体弁種類・サイズ別に適切なカテーテル弁の種類とサイズが一目でわかる.
外科的生体弁がステント付き弁であるかステントレス弁であるかで手技のコツやピットフォールが異なるが,ここではより一般的なステント付き弁症例のvalve in valve TAVR手技について解説する.

図01図02

 
利益相反
講演料など:エドワーズライフサイエンス株式会社,日本メドトロニック株式会社

図3図4図5図6

図03図04図05図06

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文献
1) Bleiziffer S, Simonato M, Webb JG, et al.: Long-term outcomes after transcatheter aortic valve implantation in failed bioprosthetic valves. Eur Heart J, 41(29): 2731-2742, 2020. doi: 10.1093/eurheartj/ehaa544.
2) Khan JM, Dvir D, Greenbaum AB, et al.: Transcatheter Laceration of Aortic Leaflets to Prevent Coronary Obstruction During Transcatheter Aortic Valve Replacement:Concept to First-in-Human. JACC Cardiovasc Interv, 11(7): 677-689, 2018. doi:10.1016/j.jcin.2018.01.247.
3) Bapat V:Valve-in-valve apps: why and how they were developed and how to use them. EuroIntervention, 10 Suppl U:U44-51, 2014. doi:10.4244/EIJV10SUA7.

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