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日外会誌. 122(3): 335, 2021

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会員のための企画

「グローバルデータシェアリングによる医療課題の解決~新型コロナからの教訓~」によせて

国際医療福祉大学三田病院 消化器センター

篠田 昌宏



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匠の技で目の前にいる患者を手術で救命するのは,外科医の使命であり醍醐味である.日本外科学会の会員の多くは,学生時代や研修医時代のどこかで外科医の醍醐味に魅せられて外科の道を選んだのではないだろうか.一人の外科医は日々の手術を積み重ねて生涯に多くの患者を治療していく.一方,基礎研究,臨床研究は,一人の外科医では成しえない難病の治療法を開発したり,情報共有のシステムを構築することで,結果的に何万何百万という数の患者の救命を達成することもある.基礎研究,臨床研究に携わる日本外科学会会員は少なくなく,外科医の技や感性がなければ成しえない研究も多い.
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development,略称AMED)は,2015年4月1日に発足した内閣府所管の国立研究開発法人である.かつてわが国の医療分野の研究開発は,文部科学省,厚生労働省,経済産業省が独自に支援し基礎研究から実用化までの一貫体勢が存在せず,体制の不備が指摘されていた.2013年6月,アベノミクスの「三本の矢」の「第三の矢」として「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」が閣議決定され,医療分野の研究開発を総合的に推進する司令塔としてAMEDが設立された.AMED研究を推進,参画している,あるいは目指している会員の先生も多いはずである. 
本号の「会員のための企画」の執筆をお願いした末松誠先生は,AMED発足から5年間初代理事長を務められた.卒後消化器内科医として研鑽を積まれたのち基礎研究を志され,活性酸素とヘム代謝の病態生化学やガス状メデイエーターによる脈管の調節機構において世界的な研究をされ,慶應義塾大学医化学教室教授,同大学医学部長を務められて,AMEDへ赴かれた.AMEDを力強く牽引された末松先生のグローバルな視点でのご執筆は,AMEDなどの大規模研究で数多くの患者に利益をもたらしたいと志されている日本外科学会会員に興味深く読んでいただけるものと思っている.

 
利益相反:なし

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