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日外会誌. 121(6): 564, 2020

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会員へのメッセージ

保険診療委員会―役割と活動―

日本外科学会保険診療委員長 
日本大学医学部 小児外科

越永 従道



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本委員会は,保険診療報酬に関する業務を所管し,外科学の進歩に即応する保険診療報酬の適正化を図ることを目的としています.適正な手術料およびその他の保険診療報酬に関する調査を行い,保険診療報酬の適正化のため関係官庁および団体との交渉などにあたっています.特に「外科医の技術を保険制度に適正に反映させる」ことが大きな目的です.外科手術をはじめとする診療活動に対する正当な評価を,関係団体と連携し社会に広く啓蒙する役割も担っています.
本委員会では,関連学会(日本移植学会,日本肝胆膵外科学会,日本胸部外科学会,日本呼吸器外科学会,日本消化器外科学会,日本小児外科学会,日本大腸肛門病学会,日本内分泌外科学会,日本乳癌学会,日本臨床外科学会)と連携ができるよう,臓器別専門小委員会を設置しています.小委員会は,総括,総論,乳腺,内分泌,上部消化管,下部消化管,肝胆膵脾,肺縦隔,心血管,小児,移植の各分野に分けられ,各々保険診療報酬改定に関する要望項目を作成しています.また総括小委員会では,各領域の小委員会から提出された要望項目を総括し,「社会保険診療報酬に関する改正要望書」を作成の上,厚生労働省に保険診療報酬改正として提出しています.
今般の改訂では,手術通則14の改正(1回の手術で複数の臓器切除等を行う複数手術に関する要望及び腹腔鏡等手術の一括要望)並びに自動縫合器・吻合器加算の適応拡大要望を,「社会保険診療報酬に関する改正要望書」に記載いたしました.また,これら診療報酬の改正要望項目の中から重要要望項目を選択し,外科系学会社会保険委員会連合(外保連)に提出しました.2019年8月2日の厚生労働省ヒアリングでは,特に手術通則14の改正,自動縫合器・吻合器加算の適応拡大を強く要望するとともに,2014年度の診療報酬改定で新設された「夜間・休日などの時間外の緊急手術・処置に対する加算」の問題点について,アンケート結果にもとづき施設基準の緩和を要望しました.
その結果,残念ながら今回本学会が要望した手術通則14改正の全面採択には至りませんでしたが,自動縫合器・吻合器加算の適応拡大は採択していただきました.今般の改訂では,新設では要望16項目中9項目採択,改正では19項目中11項採択となりました.ちなみにロボット支援手術では,8件が採用となりました.
本委員会の恒常的な活動として,外保連の手術委員会,処置委員会,検査委員会,麻酔委員会,内視鏡委員会,実務委員会の委員として,保険医療の適正化および外保連試案改訂(『外保連試案2020』11月発行)について活動を行っています.その他,厚生労働省の要望により,ICD-11への改訂に向けた協力や体制の検討を行っています.
会員諸先生方の中でも,これは保険点数として不合理であるとか,この診療行為は認めてもらいたい,といった考えをお持ちの先生はぜひご意見を寄せていただきたくお願い申しあげます.

 
利益相反:なし

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