日外会誌. 121(5): 543-546, 2020
手術のtips and pitfalls
臨床試験を踏まえた乳がん手術におけるエネルギーデバイスの有効な使用法
慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科 関 朋子 , 北川 雄光 |
キーワード
乳癌, 腋窩リンパ節郭清, 超音波凝固切開装置
I.はじめに
乳癌手術における超音波凝固切開装置の有用性は様々な臨床試験やメタ解析によって示され,2019年4月「乳腺悪性腫瘍手術における超音波凝固切開装置加算」が保険収載された.Chengらの行ったメタ解析1)によると,従来法群と比較してHarmonic群での全漿液腫,失血,壊死等の外科的合併症リスクの大幅な低減,また術後胸壁排液と術後入院期間の大幅な低減を認めた.われわれの施設においてもLigaSure® Small Jawを用いたランダム化比較試験2)を施行した結果を報告している.そのサブグループ解析からは超音波凝固切開装置の有効性は術者の経験年数が長い群で認められ,エネルギーデバイスが有効であるためにはその特徴を生かした手技・技術の習得が必要である可能性が考察された.保険収載前より超音波凝固装置を使用してきた当施設での経験をもとに腋窩リンパ節郭清における工夫と注意点を図に沿って解説する.
利益相反:なし
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