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日外会誌. 121(5): 491, 2020

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特集

改めて認識する小児急性腹症治療に対する外科医の役割

1.特集によせて

弘前大学医学部附属病院 小児外科

平林 健



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かつては,小児急性腹症の診断・治療には一般外科医が深く関わってきたが,最近の施設の集約化・患者家族の意識の変化などにより,都心部においては小児急性腹症の診断・治療は小児外科医が担当することがほとんどとなってきている.
しかし,例えば筆者の勤務する青森県では,小児外科施設へは,150km以上の距離(吹雪くと何時間かかることか)がある地域も存在している.このように,地方においては小児外科医が簡単に小児急性腹症の治療にファーストタッチすることができない地域も存在することは事実である.
加えて,最近では,小児急性腹症の代表的疾患であり,急速に進行すると考えられてきたため外科医の診断の重要性が強調されてきた小児急性虫垂炎も,待機的な治療が主体となり,外科医による迅速な診断への重要性の認識がやや薄らいできている印象は否めない.
やや古い都内でのエピソードだが,2003年6月1日の朝日新聞の記事には初期診断・治療が後手に回った絞扼性腸閉塞症患児のあまりに急激な症状の増悪ならびに悲劇的な結末が記載されていた.
小児急性腹症の治療において,緊急手術適応の判断(小児外科専門施設への搬送適応の判断も含めて)を行う外科医の役割は軽視することはできない.
外科医になりたての若い会員の先生方に,小児急性腹症に対する外科医の重要性を再認識していただくため,今回の企画を考えた.本特集が若い先生方の診療の一助になれば幸いである.

 
利益相反:なし

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