日外会誌. 121(3): 352, 2020
生涯教育セミナー記録
2019年度 第27回日本外科学会生涯教育セミナー（関東地区）
「各分野のガイドラインを紐解く」によせて
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日本外科学会教育委員会関東地区委員長，千葉大学呼吸器外科 吉野 一郎 （2019年9月21日受付） |
第27回日本外科学会生涯教育セミナー（関東地区）は「各分野のガイドラインを紐解く」というテーマの元，令和元年9月21日に開催され，127人の学会員が参加した．
第一部は獨協医科大学第二外科の窪田敬一先生の司会で，食道癌，肝癌，膵癌について，第二部は吉野の司会で，重症患者の栄養管理，手術部位感染，肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症についての講習を行った．日々進歩し続けるがん臨床のガイドラインを一人で学ぶことは容易ではない．本セミナーが，各領域の専門家のツボを押さえた解説が聴講できる貴重な機会だったと感じている．臓器別の第一部では，これまでのセミナーでは取り扱われていなかったがん種を選定した．がんの臨床は，薬物療法の進歩と多くのエビデンスの蓄積により目まぐるしく変化している．本セミナーでも，多くの臨床研究の成果を基に最新の推奨されるべき診療およびそのアルゴリズムが紹介された．また依然エビデンスが定まらず議論のある点についても専門家ならではの解釈を加えた解説がなされた．消化器外科専門の会員のお役に立てたものと存じている．臓器横断的な第二部では，すべての会員が興味を持てるテーマを選定した．重症患者における栄養管理についての講習は，本セミナーでは初めてのテーマで多くの参加者の関心を集めていた古くて新しいテーマである．手術部位感染に関する講習では，消毒薬や創洗浄などに関する新しいエビデンスの紹介があった．最後のテーマでは深部血栓症のd-ダイマーや超音波による診断法など直ぐに“使える”講習で大変有意義であった．
最後に，6名の素晴らしい公演をしていただいた先生方，そしてその選出についてご助言いただいた教育委員会の先生方に誌面を借りて感謝申し上げる次第である．
利益相反：なし
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