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日外会誌. 121(1): 5-7, 2020

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理想の男女共同参画を目指して

内科領域とサブスペシャルティ領域の男女共同参画

埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科

名越 澄子

内容要旨
日本内科学会を中心とした「内科系学会の男女共同参画に関する連絡協議会」は,内科領域とサブスペシャルティ領域の専門医制度における課題を討議し,今年度からの連動研修の認定見送りに対する声明を発出するなどの活動を行っている.女性医師が内科領域の専門医取得を断念することなく,ジェネラリスト,そしてサブスペシャリストとして活躍できるように,専門医の取得方法に多様な選択肢が速やかに提示されることを望む.

キーワード
日本内科学会, 内科系サブスペシャルティ学会, 連絡協議会, 連動研修, 働き方改革

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I.はじめに
日本内科学会に男女共同参画ワーキング・グループ(WG)が発足した2012年当初の活動は,女性評議員を増やし,各委員会に少なくとも一人の女性委員を実現させることを目標としたものであった.

II.内科系学会の男女共同参画に関する連絡協議会
「内科系学会の男女共同参画に関する連絡協議会(以下,連絡協議会)」は,日本内科学会が中心となり内科系13学会(日本消化器病学会,日本肝臓学会,日本循環器学会,日本内分泌学会,日本糖尿病学会,日本腎臓学会,日本呼吸器学会,日本血液学会,日本神経学会,日本アレルギー学会,日本リウマチ学会,日本感染症学会,日本老年医学会)の男女共同参画に関わる組織等により2017年4月に設立された.日本内科学会とサブスペシャルティ学会の男女共同参画活動を横断的に繋いで共通の課題を話し合い,各学会のグッドプラクティス事例を紹介し,お互いの活動に役立てようとの趣旨であった.アンケートで会員,評議員,理事,委員会委員,座長・司会などの女性比率や男女共同参画を進めるための組織とその取り組みを調査した1).横並びのアンケート結果を公表することにより,新たに男女共同参画委員会が設置された学会もあり,初の日本内科学会女性理事が誕生するなど一定の成果を上げることができた.
また,新内科専門医制度の開始を機に,女性医師のキャリア形成を支援する目的で各領域の専門医の受験資格や更新条件について情報交換を行った.研修期間延長を要しない出産・育児などによる一定期間の休職や,勤務時間に応じた研修期間の延長による短時間勤務での受験資格,育児などによる更新の保留・延長を認める制度が報告された.ほぼ全ての学会で会員の女性比率と専門医の女性比率は同等であり1),女性内科医の専門医取得の意欲が高いことが窺われた.出産・育児などのライフイベントと重なる前に専門医を取得しようとする女性医師も多いが,長期間を要しても柔軟な勤務形態のもとで正規のカリキュラムを修了しようとする女性医師もいる.多様な選択肢が認められていることが,女性医師がキャリアを形成していくために必須な要件と考えられる.

III.内科領域とサブスペシャルティ領域との連動研修について(声明)
日本専門医機構から内科系サブスペシャルティ学会として認定されたのは内科系13学会に日本消化器内視鏡学会と日本臨床腫瘍学会を加えた15学会となった.しかし,2019年3月22日開催の厚生労働省「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」において,同年4月からの連動研修の認定が見送られた.
同年4月に開催された連絡協議会で本件が取り上げられ,内科専門医や内科系サブスペシャルティ領域専門医を目指す女性に不安と混乱をもたらし,女性内科医が減ってしまうとの強い危機感が表明された.サブスペシャリストとしての立ち位置には領域により意見の相違もあり,女性医師が連動研修で短期間にサブスペシャルティ領域専門医を取得するのは困難との意見もあったが,女性医師が内科領域の専門医取得を断念することなく,ジェネラリスト,そしてサブスペシャリストとして十分に能力を発揮し社会に貢献できるように,内科領域とサブスペシャルティ領域との連動研修も含め,専門医の取得方法に多様な選択肢が速やかに提示されるべきとの点で全員一致の賛同を得た.
その後,メール会議で「内科領域とサブスペシャルティ領域との連動研修について(声明)」を作成し,日本内科学会とサブスペシャルティ領域15学会の承認を得て,同年7月29日に厚生労働省担当部署に声明文を届けた(図1).日本専門医機構にも送付し,各学会のHPに掲載をお願いする予定である.

図01

IV.おわりに
2019年度より,日本内科学会は医師の働き方改革に取り組むこととなった.第116回日本内科学会総会・講演会の男女共同参画企画においても働き方改革をテーマに取り上げた.それに伴い,「男女共同参画WG」は「男女共同参画・働き方改革WG」と名称を変更して対応を担うこととなった.そもそも女性医師が様々な分野で活躍することを可能にするには,医師全体の働き方の見直しが必須であり,男女共同参画の視座を取り入れた働き方改革を行っていきたい.

 
利益相反:なし

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文献
1) 名越 澄子,梶波 康二,西川 典子,他:日本内科学会及び内科系13学会における男女共同参画に関する調査結果報告.日内会誌,107: 894-899, 2018.

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