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日外会誌. 127(1): 11-18, 2026


特集

小型肺癌に対する診断治療の工夫

2.小型肺癌に対する治療方針の現況と将来

聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科

佐治 久 , 柿崎 典史 , 畠山 高享 , 大坪 莞爾 , 酒井 寛貴 , 本間 崇浩 , 丸島 秀樹 , 小島 宏司

内容要旨
近年,本邦における原発性肺癌手術件数は増加を続け,2023年には48,000件を超えた.縮小切除の割合も39%に達し,小型肺癌に対する重要な治療選択肢となりつつある.臨床病期ⅠA期で5年生存率90%以上という良好な成績を背景に,2022年版肺癌診療ガイドラインでは初めて縮小切除が強く推奨された.縮小切除のエビデンスは,1995年のLCSG試験が否定的結果に終わった後,JCOG/WJOGによる一連の臨床試験によって進展した.特に2cm以下小型浸潤癌を対象としたJCOG0802/WJOG4607Lでは,区域切除が肺葉切除に対して全生存率で非劣性のみならず優越性を示し,米国のCALGB140503も非劣性を証明して国際的な妥当性を裏付けた.さらに小型非浸潤癌を対象としたJCOG0804/WJOG4507L(C/T比0.25以下)およびJCOG1211(3cm以下かつC/T比0.5以下)では,それぞれ5年無再発生存率99.7%と98.0%を示し,縮小切除の有効性を確認した.これらの成果により,縮小切除は標準治療として確固たる地位を築きつつある.一方,局所再発予測因子,切除断端の確保,リンパ節郭清の適応など未解決の課題も残されている.肺癌外科手術は全摘から肺葉切除,さらに縮小切除へと進化してきた.今後も低侵襲で確実な根治を目指す「縮小切除 ver2.0」の構築が,本邦呼吸器外科医に課せられた次なる使命である.

キーワード
小型肺癌, 縮小手術, 楔状切除術, 区域切除術


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