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日外会誌. 125(6): 504-508, 2024
特集
小児心臓外科医の育成
4.小児心臓手術を行う施設の地域拠点化に関する提言
内容要旨
2023年,日本小児循環器学会・日本心臓血管外科学会・日本胸部外科学会は小児循環器診療に携わる学会として,次世代医療人を育成し,安全かつ継続的な医療を提供していくため「先天性心疾患の手術を行う施設の集約化(地域拠点化)に関する提言」を発表した.わが国では手術症例数の少ない“小規模施設”が多いことが特徴であり,全体の60%にあたる施設の先天性心疾患年間手術症例数は50例未満である.これら小規模施設に所属する小児心臓外科医の殆どが「年間の執刀数20例以下」であり,十分な執刀経験を積むことが極めて困難な状況となっている.近年減少傾向にある「小児心臓外科医」という貴重な人的資源を有効かつ効果的に活用し,安全で良質な外科医療を持続的に提供するために先天性心疾患の手術を行う施設を集約することの意義は非常に大きい.拠点施設では難易度の高い手術を,熟練した指導医のもとで短期間のうちに数多く経験することができ,小児心臓外科医を重点的に育成するプログラムを実行することが可能になる.集約化(地域拠点化)を行うためには解決すべき問題点が数多く存在しており,一朝一夕に実現しうることではない.しかしながら先天性心疾患を持って産まれた患者さん達に対して,新生児期から成人期まで安全かつ継続的な医療を提供するために,手術を行う施設の集約化(地域拠点化)を推進していくことは必然かつ喫緊の課題である.
キーワード
小児心臓手術, 次世代育成, 地域拠点化
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