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日外会誌. 125(6): 489-497, 2024
特集
小児心臓外科医の育成
2.小児心臓外科医の現状
内容要旨
「小児心臓外科医は絶滅危惧種!」と言われている.
その背景には,回避するのが容易でない複数の圧迫要因が複雑に折り重なっているという現実がある.
主な圧迫要因を挙げると,
1)少子化(2000年から2020年の20年間で,日本の出生数が約30%減少.東京などいくつかの都道府県を除くと,多くの県で約40%の減少),
2)それに影響される手術件数の減少(2011年の年間10,000件弱をピークとしてゆっくり減少,2021年は8,349件),
3)先天性心疾患に特有かつ負担の大きい周術期管理(先天性心疾患特有の心内右⇄左短絡を持つ循環は,呼吸管理でも患者の状態が大きく変化する),
4)それに起因する絶対的に負担の大きい労働環境(心臓外科を含めた成人外科領域で進んでいる周術期管理の集中治療域への移行が容易でない),
5)さらに近年の核家族化と働き方改革推進(他の診療領域と比較して肉体的負担になる仕事量,それに影響され家庭生活対応がより難しいことによる精神的な負担増などが加わっていると個人的に推察)などがある.
この章では,日本の小児心臓外科医が直面している現状をできるだけ分かりやすく提示することで,これ以降の章につなげる役割を果たせれば幸いである.
キーワード
少子化, 核家族化, 手術件数減少, 周術期管理, 労働環境
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