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日外会誌. 125(4): 317-324, 2024
特集
肺癌外科診療up to date
4.胸腔鏡手術,ロボット支援手術の安全対策―日本呼吸器外科学会の胸腔鏡安全技術認定制度の取り組みと今後の展望―
内容要旨
呼吸器外科領域では胸腔鏡下手術(Video-assisted thoracoscopic surgery:VATS)は広く普及しており,ロボット支援下手術(Robot-assisted thoracoscopic surgery:RATS)も増加しているが,手術手技に起因する大量出血は依然として起きている.日本呼吸器外科学会では,安全なVATSの普及を目的に2021年より胸腔鏡安全技術認定制度を開始し,現在まで3回の審査が終了している.安全な手術手技は,個々の外科医の経験や考え方に依存するため,それを一律に評価することは困難と考えられる.また胸腔鏡下手術も様々なアプローチで施行されており,評価制度の安定性が求められる.本制度では,呼吸器外科専門医を更新した外科医が,部下とともに安全に肺葉切除ができることを基準とした審査がなされている.また様々なアプローチも尊重して対応することとした.結果,合格率は約70%で年々増加している.第4回からRATSを本制度で審査する方針として準備を進めた.RATS特有の危険性に関してビデオクリップを集めて検証し,RATSに合わせた評価基準を一部作成した.今後は,deep learningを用いた審査システムの構築も視野に入れている.本制度は,「安全性に配慮した手術を施行する呼吸器外科医」を認定するものである.一方で本制度を通して,個々が手術の安全性に目を向け議論をしていくことにより本邦の呼吸器外科手術の安全性が高まることを期待している.
キーワード
胸腔鏡下手術, ロボット支援下手術, 安全対策, 手術手技評価
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