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日外会誌. 125(3): 207-215, 2024


特集

Acute Care Surgeon―その活躍の場―

3.多数傷病者事案mass casualty incident(MCI)における活躍

1) 日本医科大学武蔵小杉病院 救命救急科
2) 日本外科学会外傷外科医養成研修実施委員会 

井上 潤一1)2) , 大友 康裕2) , 庄古 知久2) , 森下 幸治2) , 松島 一英2) , 比良 英司2) , 溝端 康光2) , 渡部 広明2) , 中田 孝明2) , 松原 久裕2)

内容要旨
Acute Care Surgeonは日々の外傷診療から災害対応に必要な状況に応じた判断力と実行力そしてチームをまとめるリーダーシップを経験的に習得するとともに,救急外来や手術室,集中治療室等のいわゆる災害時初動部門を日常的に活動の場としている.したがって外傷患者が多く発生する多数傷病者事案mass casualty incident (MCI)においてAcute Care Surgeonはトリアージや治療に加え対応全般を統括するリーダーに適した人材となりうる.日本外科学会では東京オリンピック・パラリンピックでの銃創・爆傷診療への備えとして2017年度より外科専門医を対象とした「外傷外科医養成研修」を開催しこれまでに医師看護師あわせて536名が修了.昨年のG7広島サミットでは研修修了者のAcute Care Surgeonからなる外傷外科チームTrauma Surgical Assistant Team (TSAT)を組織し初めて広島県内の2施設に派遣,サミット期間中の首脳外傷対応ならびにMCIを含む救急災害医療体制の支援を行った.今後学会としてTSATを養成し大規模イベントや災害への派遣を行う方針である.Acute Care Surgeryが扱う外傷外科,救急外科,外科的集中治療,surgical rescue の四つの柱に加え,MCIを含む災害対応を五つ目の柱とすることがAcute Care Surgeonの職域とidentityを確立するとともに,わが国の外傷外科診療ならびに救急災害医療体制の強化に寄与することが期待される.

キーワード
MCI, TSAT, 外傷外科医等養成研修, Acute Care Surgeon, Acute Care Surgery

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