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日外会誌. 125(2): 105-112, 2024


特集

外科におけるRCT―top journalへの道―

2.呼吸器外科におけるRCT―top journalへの道―

聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科

佐治 久

内容要旨
2022~2023年,早期肺癌に対する縮小手術のエビデンスが出揃った.約30年の月日を経て,2022 年版肺癌診療ガイドラインに初めて縮小切除を「推奨の強:1」として行うよう推奨する記載が追記された.そのエビデンスの一つとして2023年4月にLANCET誌に掲載されたJCOG0805/WJOG4607Lの主解析報告がある.1995年のLCSG821以来,新しいエビデンスを構築するために国内外問わず,さらに分野を問わず,数え切れない先人達の絶え間ない努力の上に成し遂げられた業績である.本章では,幸運にもその最後のピースを填めた一人の外科医として肺癌外科の歴史,新しい外科治療の開発戦略,そして短い期間にThe New England Journal of MedicineとTHE LANCETの二つの世界最高峰への挑戦について,実際の経験と一陽来復に努力した状況を私見を交えて述べる.そしてトップジャーナルに掲載されるには(1)高品質なRCT(2)世界初の報告(3)標準治療を覆す結果の3条件があると考える.

キーワード
多施設共同ランダム化比較試験, 標準治療, 試験治療, 肺葉切除, 区域切除


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