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日外会誌. 125(1): 43-48, 2024


特集

学会活動,診療・研究にSNS等のツールをどう活用するか

6.動画サイトを利用した手術手技の向上

金沢大学 消化管外科

稲木 紀幸

内容要旨
従来,手術手技は師匠と弟子の間で「見て覚える」という形式で伝えられていたが,動画技術の普及により,より多くの医師が同じ手技を学ぶことが可能となった.WebSurgなど,手術や医学に特化した動画共有サイトが出現し,医師や医学生をターゲットとした高品質なコンテンツが提供されるようになり,専門的な内容と手術動画が効果的に閲覧できるようになった.近年では,仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術が医療教育に導入され始め,動画と組み合わせたリアルタイムのシミュレーション学習も可能となってきている.
新型コロナ感染症のパンデミック下で普及したweb会議システムは,手術動画の共有をインタラクティブに行える機能を有し,外科医同士,または指導医と修練医との間での意見交換や質疑応答が容易に行えるようになり,教育効果が期待される.手術予定患者が,手術の手順やその他の情報を理解するための資料として手術動画を参照することが行われ,患者教育としての効果も挙げられている.
手術動画サイトには多くの利点がある一方で,品質のばらつき,誤情報の拡散,プライバシー,著作権,アクセス制限,技術的障壁,更新の必要性,評価やフィードバックの不足などの課題や懸念点が存在する.質の確保と監査,対話型学習ツールの導入などを追求することで,手術動画サイトは医療教育の質をさらに向上させ,多くの外科医や医学生にとっての貴重なリソースとなる.

キーワード
手術動画, 動画サイト, YouTube, 外科教育, Off-the-job training


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