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日外会誌. 124(6): 514-520, 2023


特集

先天性嚢胞性肺疾患のup to date

8.一般呼吸器外科医の見地から

福岡大学医学部 外科学講座呼吸器・乳腺内分泌・小児外科

岩中 剛 , 白石 武史 , 廣瀬 龍一郎 , 佐藤 寿彦

内容要旨
先天性嚢胞性肺疾患は小児外科領域における重要な呼吸器疾患で,乳幼児期までに発見される症例がほとんどである.しかし,成人期に発症する症例や,成人後に偶発的に発見される症例もあり,一般呼吸器外科においても重要な疾患である.
治療方針に関しては一定の見解はないが,呼吸障害や呼吸器感染症などを契機に診断される有症状例が手術の絶対適応と考えられている.また,無症状例に対しても感染症や悪性腫瘍発症のリスクを回避するために手術を推奨する意見が主流である.
手術術式に関しては,成人例・小児例問わず病変の完全切除のために肺葉切除術以上の解剖学的肺切除術が基本である.手術アプローチに関しては,成人例に対しては胸腔鏡手術(VATS)が広く用いられている.小児例でも低侵襲性の観点からVATSの適応が望ましいが,体格とデバイスサイズのミスマッチにより適応が困難になることがある.それを克服するため,最近は小型デバイスやスコープの開発が進み,また小児例のVATS手技の工夫に関して多くの報告がされており,今後は新生児症例への適応拡大が望まれる.さらに,ロボット支援手術の適応も期待される.

キーワード
先天性嚢胞性肺疾患, 先天性肺気道奇形, 肺分画症, 気管支原性嚢胞, 先天性気管支閉鎖症


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