[
書誌情報]
[
全文HTML]
[
全文PDF] (807KB)
[全文PDFのみ会員限定][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 124(1): 25-31, 2023
特集
独自の進歩を見せる日本の甲状腺癌治療学
4.甲状腺濾胞性腫瘍および境界病変の取り扱い
内容要旨
多くの甲状腺悪性腫瘍の診断は,超音波検査をはじめとする画像検査や穿刺吸引細胞診で手術前に診断がつき,推定される組織型により治療方針が決定される.しかし,濾胞癌は構造異型で診断されることから,上記の検査では術前に診断をつけることは困難である.臨床の場では,超音波検査や細胞診所見を駆使して,見逃さない様に努めているが,疑われた場合には診断的腺葉切除術が行われる.海外では細胞診検査で良・悪性鑑別困難であった場合,細胞診検体を用いて遺伝子変異を検索することで,診断的甲状腺切除を減らすことができると報告されている.しかし,濾胞癌を特異的に診断することは難しい.濾胞癌の予後は概して良好であるが,遠隔転移を起こすと予後不良となる場合がある.予後因子のなかで,年齢,腫瘍径,組織学的所見が重要とされている.一方,2017年にWHOから提唱された第4版の組織分類では,被包性濾胞性腫瘍のうち,良性と悪性の中間もしくは境界病変に相当する新たな疾患概念が提起された.これらの疾患の予後や取り扱いはまだ十分に解明されているとは言えず,術後も定期的な経過観察は必要となる.
キーワード
甲状腺濾胞性腫瘍, 甲状腺濾胞癌, 境界病変
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。