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日外会誌. 123(6): 531-537, 2022


特集

ロボット支援下手術の現況と展望

4.ロボット支援下手術の現況と展望 <直腸>

東京医科歯科大学 消化管外科学分野

花岡 まりえ , 絹笠 祐介

内容要旨
2018年の保険収載以来,本邦での直腸癌に対するロボット支援下手術は急速に導入が進んだ.2022年4月には結腸癌に対するロボット支援下手術も保険適応となり,今後大腸領域におけるロボット支援下手術は益々増加するものと考えられる.
ロボット支援下直腸癌手術は,狭い骨盤内でも,関節機能をもつ鉗子とモーションスケーリングや手ぶれ防止機能などを駆使することで,従来の腹腔鏡手術の短所を補い,有用性が期待されている.2006年に直腸癌に対するロボット支援下手術が初めて報告されて以来,その安全性に関して数多くの報告がなされてきた.ロボット支援下直腸癌手術の優越性に関する確固たるエビデンスは乏しいが,大規模コホート研究やデータベースに基づく報告によると,ロボット支援下手術は開腹移行率および術後の泌尿・性機能障害の割合が低い等のメリットが示されている.今後は腫瘍学的側面や予後についての臨床試験の結果に注目が集まる.教育の面においてもロボット支援下手術の有用性についての報告が増えており,若手外科医におけるロボット支援下手術の普及に向けても期待が持てる側面である.
本稿では,複数の角度からみた直腸癌に対するロボット支援下手術のエビデンスについてまとめ,今後の展望についても言及する.

キーワード
直腸癌, ロボット, 腹腔鏡, 短期成績, 長期成績


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