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日外会誌. 123(1): 53-60, 2022


特集

Modern Surgeon-Scientistによる恒常性維持器官の外科研究

8.小児がんのリキッドバイオプシー研究

1) 広島大学 自然科学研究支援開発センター
2) 広島大学病院 小児外科

檜山 英三1)2) , 兒島 正人1)2) , 栗原 将2) , 佐伯 勇2) , 原田 隆範1)

内容要旨
小児がんは,その治療成績が次第に向上しており,正確な診断のもとで的確な治療を行うことが必須となっている.こうした中で,的確な診断を行うためには従来の外科的切除や生検にとってかわって,血液中の循環腫瘍細胞(CTC)や遊離核酸(cfDNA)を用いたリキッドバイオプシーが用いられる時代になりつつある.われわれは,全血中の有核細胞から特異的抗体を用いたセルソーティングによってCTCを分離している.さらに,分離したCTCを直視下に採取し,遺伝子増幅法による遺伝子変異解析や発現解析を行うとともに,一細胞解析によって代謝解析を行っている.これらから,CTCには様々な細胞があり,腫瘍のheterogeneityを示すとともに,腫瘍内の抗悪性度の細胞や治療抵抗性の細胞の検出に有用と考えられた.一方,cfDNAを用いた解析は,肝芽腫のCTNNB1遺伝子変異,腎芽腫のWT1変異の検出,さらに神経芽腫のMYCN増幅の検出が可能となっており,臨床応用に至っている.将来,これらのリキッドバイオプシーは,外科的切除による病理診断をサポートするとともに,治療効果や再発のモニタリングにも有用な検査法となると考えられる.

キーワード
小児がん, 循環腫瘍細胞, 遊離核酸, 診断, 腫瘍マーカー

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