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日外会誌. 122(4): 392-397, 2021


特集

直腸癌治療の温故知新

6.TaTMEと今後の展望

札幌医科大学 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学

浜部 敦史 , 竹政 伊知朗

内容要旨
Trasanal TME(TaTME)の登場・進化は,直腸癌に対する外科治療体系を大きく変化させた.従来の経腹的TMEでは困難であった骨盤深部の手術操作を,肛門側からのアプローチで解決し,さらにTaTME特有の解剖認識に対する理解も発展したことで,適切な環境下では安全,確実に導入可能な術式となった.近年は,ロボット手術が急速に普及したことで,骨盤深部の剥離を含めて経腹的に手術を完遂しようとする気運が再び高まり,TaTMEの適応は一時よりは縮小されつつあると考えられる.しかしながら,ロボット手術でも対応が困難な低位直腸癌症例は今なお存在している.直腸癌手術で重要となる目標“1mmを超えるcircumferential resection marginを確保したうえでのTME遂行”を達成するうえでTaTMEを利用することが有益である適応症例を,厳密に決定しTaTMEを実施することが今後求められる.また,TaTMEを実施する症例は困難な対象が増加すると想定されるため,TaTME実践のための教育体制の重要性が増していくだろう.

キーワード
TaTME, ロボット, CRM

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