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日外会誌. 122(2): 172-178, 2021
特集
肝胆膵領域腫瘍におけるBorderline resectable/Marginally resectableとは
―術前治療の可能性について―
7.膵神経内分泌腫瘍
内容要旨
膵神経内分泌腫瘍は,腫瘍の増殖スピードが緩やかで,局所の浸潤傾向が乏しいことが多いことから,膵癌におけるborderline resectableに相当する腫瘍でも根治的切除が可能なことが多い.ただし,腫瘍の不均一性のため,同じ膵神経内分泌腫瘍と診断されても,線維化が強く,膵癌と同様の切除限界となることがあることに注意が必要である.術前治療の必要性という観点からは,切除断端の陰性化よりも,腫瘍病態学的なmarginally resectableの病態がより重要である.すなわち1)門脈腫瘍栓に対して,腫瘍引き抜きおよび門脈合併切除は可能であってもいずれも肝転移を高率に来すこと,2)70%以上肝転移病変切除は非切除に比べて予後が改善するが,再発は必発であること,3)NECは切除のみでは非切除と同等の予後しか期待できず,何らかの追加治療を必要とするという点から,門脈腫瘍栓,肝転移,NECの各病態がmarginally resectableの状態と考えられる.前二者に関しては,本邦未承認ではあるものの,カペシタビン+テモゾロミド,PRRTが腫瘍縮小効果と長期無増悪生存期間が報告されている.欧米では,これらの治療法のmarginally resectable病変への効果も報告されていることから,今後の保険収載による適応拡大が待たれる.
キーワード
膵神経内分泌腫瘍 腫瘍栓, 肝転移切除, WHO2019
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