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日外会誌. 122(2): 153-159, 2021


特集

肝胆膵領域腫瘍におけるBorderline resectable/Marginally resectableとは
―術前治療の可能性について―

4.転移性肝癌

熊本大学病院 消化器外科学

北野 雄希 , 今井 克憲 , 林 洋光 , 山下 洋市 , 馬場 秀夫

内容要旨
大腸癌肝転移に対する外科的切除は,長期予後の改善が期待できる唯一の治療法である.しかし肝転移の診断時に切除の適応となる症例(Initially resectable)は20%程度に過ぎず,残りの症例は切除不能例(Initially unresectable)として,肝切除への移行を目的とした化学療法(Conversion therapy)や,palliativeな化学療法を行わざるを得ない.近年の目覚ましい化学療法とIVRや手術手技の発展により,大腸癌肝転移のresectabilityは拡大しつつあり,その中には技術的には切除可能であるが腫瘍学的にupfrontの手術がためらわれる症例も少なくない.膵癌ではこのような症例はBorderline resectableと定義され,その解剖学的特徴から治療戦略まで明確に示されているが,大腸癌肝転移においては,過去の報告より様々な予後不良因子の報告があるものの,Borderline resectableの明確な定義や治療戦略は未だ提示されていない.1970年代に大腸癌肝転移に対する肝切除の有用性が報告されて以降,切除不能例に対する集学的治療がresectabilityを向上させ,予後の改善をもたらすとされてきたが,Borderline resectableに関しても定義や治療戦略を明確にすることで予後の改善が見込めると思われる.本稿では,大腸癌肝転移におけるBorderline resectableについて,過去の報告を踏まえながら今後の展望について概説する.

キーワード
大腸癌肝転移, Borderline resectable, 術前補助化学療法


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