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日外会誌. 120(6): 652-656, 2019


特集

外科医とがん登録―NCDから見えてきたわが国のがん治療の実態―

5.胃がん登録

日本胃癌学会登録委員会委員長,神戸大学大学院医学研究科外科学講座食道胃腸外科学分野 

掛地 吉弘

内容要旨
1968年から開始された胃癌全国登録は,1992~2000年の中断を経て,2001年から再開された.登録の対象を初発胃癌の手術例に限定し,治療後5年以上経過した症例について後ろ向きに予後情報を含めて登録する方式である.2010年の胃癌登録の手術症例数24,983例は,National Clinical Database(NCD)に登録された2011・2012年の症例数からみて,全国の手術症例の約45%に相当すると考えられる.胃癌取扱い規約に基づき,胃癌治療ガイドラインに沿った胃がん手術の現状が見てとれる.早期胃癌に対する内視鏡的切除症例の後ろ向き登録は2013年に行われ,2004年からの症例登録が進んでいる.2010年の内視鏡的切除症例は125施設から7,242例が登録された.厚生労働省の平成29年度臨床効果データベース整備事業により,胃癌の臓器がん登録データベースがNCDへ実装された.2018年より,2011年症例の後ろ向き登録(外科症例,EMR/ESD症例)と2018年症例の前向き登録(外科症例,EMR/ESD症例)を並行して行っている.日本胃癌学会員の完全なボランティアとして行われてきた本事業が,NCDへ実装されたことで,より多くの胃癌治療例の詳細な治療経過と予後が解析され,エビデンスの創出につながることが期待される.

キーワード
胃がん, がん登録, NCD, 内視鏡的切除


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