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日外会誌. 120(5): 544-549, 2019


会員のための企画

サルコペニアと消化器がん治療

藤田医科大学 医学部外科・緩和医療学講座

東口 髙志

内容要旨
2006年,「がん対策基本法」が制定され,①がんに対する研究の推進,②がん医療の均てん化の促進,③患者の意向を十分に尊重したがん医療提供体制の整備が盛り込まれ,全人的ながん医療体制の構築が叫ばれるようになった1) .特に,身体に直接侵襲を加える外科治療,化学療法,放射線療法などは,健常組織に対しても少なからずの侵襲を伴っており,代謝栄養学を駆使した診断早期からの患者に優しいがん治療の推進が求められている1) 2) .特に消化器がんを有する症例では,進展に応じて代謝・栄養学的損失が大きく,他の領域のがん患者に比して,骨格筋量の減少が著しくサルコペニアの発現が顕著である.がん治療に際しては,蛋白およびアミノ酸の代謝動態を中心とした細心の栄養管理法を実践することが治療成績の向上につながり,「がん対策基本法」の掲げる患者に優しいがん治療へとつながるものと思われる.

キーワード
消化器がん, サルコペニア, GLIM criteria, 悪液質, 蛋白代謝

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