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日外会誌. 120(4): 398-404, 2019


特集

膵手術・膵癌治療の進歩

2.外科解剖からみた膵頭十二指腸切除術

1) 東京医科歯科大学 肝胆膵外科学
2) 東京医科歯科大学 臨床解剖学

伴 大輔1) , 菅原 俊喬1) , 室生 暁2) , 秋田 恵一2) , 田邉 稔1)

内容要旨
安全で精度の高い膵頭十二指腸切除を行うためには,正確な膵周囲の解剖学的知識が必須である.これまでも数多くの研究がなされてきた.本稿では膵頭十二指腸切除に関わる解剖学的検討について最近の話題も交えて報告する.
Mesopancreasという言葉がしばしば用いられるが,解剖学的には誤りと言わざるを得ない.Mesopancreasの用語としての問題は,膵頭部癌手術におけるR0を目指すために一括で切除するという手技のコンセプトが,あたかも解剖学に裏付けされているように用いられることにある.また,Treitz靱帯の重要性,artery-firstアプローチを行う上で第一空腸動脈/静脈の解剖,膵頭神経叢について概説した.
今後は腹腔鏡下膵頭十二指腸切除が普及していくと思われる.腹腔鏡下特有の膜解剖や,拡大視効果の恩恵を受けて線維構造などについて新たな解剖学的知見が展開されることが期待される.

キーワード
トライツ靱帯, artery-first アプローチ, 膵頭十二指腸切除


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