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日外会誌. 120(2): 159-164, 2019


特集

血管浸潤を伴う肝胆道癌の外科治療の現況

2.肝胆道癌における血管処理・吻合に必要な基本テクニック

東京大学 肝胆膵外科・人工臓器移植外科

有田 淳一 , 長谷川 潔

内容要旨
肝癌あるいは肝門部領域胆管癌に対する手術では,しばしば腫瘍浸潤に伴う血行再建を行う.また,血行再建がない症例でも肝静脈,下大静脈,門脈,肝動脈の処理に習熟している必要がある.全ての血管処理において共通するのは血管を愛護的に扱うことである,ことに肝動脈については内膜損傷のおそれがあるために鑷子で直接把持してはならない.静脈系血管では鑷子での把持は許される場合が多いが,鑷子をわずかに広げた状態で把持することと,露出されている静脈壁の大部分を鑷子に収めるようにすることで損傷を予防できる.肝静脈を肝実質内でテーピングするためには,肝離断序盤から肝静脈を離断面に露出し,次第に肝静脈の露出角度を大きくしていき,半周を大きく超えるようにしたところで静脈周囲の肝実質をペアンで破砕してから鉗子を通す.門脈は肝十二指腸間膜内に存在するために豊富で密な結合織に覆われており,意識して外膜ぎりぎりで剥離して結合織が門脈壁表面に残らないようにする必要がある.楔状合併切除においてはあえて横長の欠損を作るようにしてドッグイヤー様歪みを防ぎ,環状切除しての端々吻合では縫合糸の牽引をゆるくし,Growth factorを作ることで狭窄しないようにしている.肝動脈再建では十分なクビが取れるように剥離し,再建後に血流の不安があるときは躊躇せず再吻合を行う.

キーワード
門脈, 肝静脈, 肝動脈, 再建, 血管剥離

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