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日外会誌. 119(6): 629-635, 2018


特集

小児短腸症候群・小腸機能不全の最前線

4.腸回転異常症に伴う中腸軸捻転―早期診断のknack and pitfalls―

新潟大学大学院 医歯学総合研究科小児外科

窪田 正幸

内容要旨
腸回転異常症では,胎生期の中腸の回転と固定という過程が障害され,小腸を固定するトライツ靱帯から回盲部までの長い腸間膜根が形成されず,十二指腸,小腸全域,上行結腸から横行結腸の一部が十二指腸の基部に収束するという解剖学的異常が発生する.長い腸管膜根ではなく,広げた扇のように十二指腸基部に中腸領域の腸管が支えられているため,その基部で腸管が捻転しやすく,中腸全域の絞扼性イレウスが惹起される.診断が遅れ腸管虚血が進行すると広範囲な腸管壊死を来し,中腸領域を喪失するという重篤な短腸症候群(SBS)を来す.しかし,腸回転異常症には多くの病型があり,軸捻転を来しやすい180度回転型においても,発症年齢によって病態が異なり,新生児期は胆汁性嘔吐と血便で発症し,絞扼性イレウスによる腸管壊死を来しやすいが,年長児や成人では,症状は腹痛や嘔吐,便秘,血便,貧血,閉塞性黄疸,十二指腸潰瘍,乳び腹水,蛋白喪失性胃腸症など多彩で,診断が遅れる原因となっている.年長児以降では,捻転を来しても腸管壊死を来すことは稀とされているが,やはり急性経過で腸管壊死を来す成人例も報告され,本症を鑑別診断として理解しておくことが重要である.本症ではその多彩な病態を理解し,特に新生児期から乳児期早期に突然発症するイレウスでは,本症の存在を常に念頭においた迅速な診断と治療が,SBSの回避に不可欠である.

キーワード
腸回転異常, 中腸軸捻転, 短腸症候群, 腸管固定

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