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日外会誌. 119(4): 409-413, 2018


会員のための企画

病院食を考える―世界の病院食を食べてきた経験をもとに―

田無病院院長 

丸山 道生

内容要旨
現在まで,世界各国の病院術後食の検討はなされていなかった.著者は徹底したフィールドワークにより世界各地の病院食を検討した.術後流動食の検討から,流動食にはブロス,ブイヨンの「西洋肉湯文化圏」と,穀物を煮た煮汁の「東洋穀物湯文化圏」が存在し,「東洋穀物湯文化圏」は使用される穀物により三つに分かれる.北(韓国,中国の北部)はアワ,中間(日本,中国南部,東南アジア)はコメ,南(インド)はオオムギの流動食が伝統的に使われる.術後食は,術後消化管の運動が回復したら流動食から普通食にステップアップしていく段階食である.本邦は,重湯,3分,5分,7分,全粥,常食の6段階である.世界では4段階(アメリカ,オーストリアなど)が多く,3段階(韓国など)や5段階以上(台湾など)もあり,日本は最もステップ数の多い国である.術後食に分粥があるのはアジアでも日本だけである.今後の本邦術後食は日本の食文化に根ざした「早期経口栄養」と患者個々の状態に合わせた「個人対応」と考える.

キーワード
病院食, 術後食, 流動食, 国際比較

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