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日外会誌. 119(3): 278-285, 2018


特集

外科医のがん研究

5.肝がん手術を安全に施行するための基礎と臨床を橋渡しする研究の取り組み

札幌医科大学 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座

水口 徹 , 木村 康利 , 竹政 伊知朗

内容要旨
肝がんに対する手術を安全に施行するための基礎研究と臨床研究の双方から得られた知見をまとめた.肝線維化評価には,ヒアルロン酸,Hepatocyte growth factor(HGF),フィブロスキャンなどを使用してきた.肝発がんとも直接的な因果関係が示唆される.NBNC肝がん症例におけるALDH1(aldehyde dehydrogenase)は,予後不良因子で,がん幹細胞の関与が示された.UTI(urinary trypsin inhibitor)の異常は,細胞周期のM期で分裂障害をきたす.PTTG(Pituitary tumor transforming gene)の異常も,M期に異常をきたす.UTIやPTTGの異常は肝再生が遅延する.熱焼灼デバイスの肝再生への影響は,炎症関連分子の活性化をきたし,肝再生を障害する.ATⅢは線溶系蛋白であるが,術前値は初病期の肝機能低下を反映し,ICGと逆相関する.外科研究の真骨頂は手術手技の開発にあり,IVC再建法・アクアハンギング法・体外式プリングル法を考案してきた.

キーワード
肝線維化, 肝再生, 小型肝細胞, 熱焼灼, 肝切除手技

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