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日外会誌. 119(3): 272-277, 2018


特集

外科医のがん研究

4.がんの匂いセンサ開発に向けての研究

1) 伊万里有田共立病院 外科
2) 九州大学医学研究院 消化器・総合外科
3) 九州大学 味覚・嗅覚センサ研究開発センター
4) 九州大学農学研究院 生命機能科学部門
5) 九州大学システム情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門
6) セント.シュガージャパンがん探知犬育成センター 

園田 英人1)2)3) , 沖 英次2)3) , 田中 充3)4) , 松井 利郎3)4) , 小野寺 武3)5) , 都甲 潔3)5) , 佐藤 悠二6) , 前原 喜彦2)3)

内容要旨
がん治療における外科医による病巣切除は,がんを早期発見した場合にそのがんを根治させる力を最大限に発揮できる.新たながん検出法の開発は,早期発見のための様々な問題を解決するブレイクスルーになると期待される.われわれを含め,犬などの生物嗅覚を利用して,がんに特異的な匂いがあることが報告されている.がんは遺伝子変異によって代謝の変化を生じ悪性形質を獲得するが,その代謝の最終産物が匂い物質であると考えられる.新たながん検出マーカ発見を目的に,がんに特異的なDNA,RNA,タンパク質,代謝とその産物の変化を網羅的に解析する,ゲノミクス,プロテオミクス,メタボロミクスといったオーミクス研究が盛んに行われており,がんの匂い物質特定の研究もオーミクス研究の線上にあると考えられる.様々な環境物質の中に埋もれたがん特異的匂い物質を特定することは容易ではないが,それら生物嗅覚で認識可能であることから,不可能でないと考えられる.新たながん検出マーカの発見とそれに対するセンサ開発が,多くの人の幸せに繋がる事を目標に研究を継続している.

キーワード
がん, 匂い, 探知犬, 代謝, マーカ

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