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日外会誌. 119(2): 164-171, 2018


特集

外科診療における遺伝学的検査の意義

5.心臓血管

東京医科大学 心臓血管外科

荻野 均

内容要旨
遺伝的要因が関係する心血管疾患には,先天性心疾患,遺伝性結合織疾患(connective tissue disorder, CTD)に伴う心大動脈疾患,心筋疾患,不整脈疾患などがあり,その適応や術式において特別の注意が必要である.その中でも,遺伝性CTDに伴う心大動脈疾患においては,組織の脆弱性からその心血管病変が時に致死的である.特に,Marfan症候群(Marfan syndrome, MFS),Loeys-Dietz症候群,Ehlers-Danlos症候群などでは特発性に大動脈解離や大動脈〔瘤〕破裂が起こることがあり,出血性合併症から死に至る.同時に,大動脈解離が発生した前と後では,長期生存率や大動脈関連事故回避率などの点で遠隔予後に差があることも明らかになっており,大動脈解離の発症前に早期かつ正確に診断することが重要である.また,ある程度の大動脈の拡大(主に基部拡大)を認める場合には解離発症前に予防的に人工血管で拡大部分を置換しておくことが重要である.MFSやLoeys-Dietz症候群は共に常染色体優性遺伝であるが,前者の25%,後者の50%が家族歴のない孤立発症である.したがって,身体所見,家族歴,画像所見などに加え,遺伝子学的検査が極めて重要である.

キーワード
遺伝性結合織疾患, Marfan症候群, 遺伝学的検査, 外科治療

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