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日外会誌. 119(1): 62-66, 2018


会員のための企画

遺伝性大腸癌に対する日常診療

埼玉医科大学総合医療センター 消化管・一般外科

石田 秀行

内容要旨
遺伝性大腸癌の概要を示し,遺伝性大腸癌の中で最も頻度が高いリンチ症候群(Lynch syndrome,LS)と類縁疾患に対する日常診療における要点について,近年の海外の動向を踏まえて解説した.遺伝学的検査体制が不十分な本邦において,遺伝学的診断に基づいた遺伝性大腸癌の治療とサーベイランスを遂行することは困難な状況にある.大腸に10個以上のポリープを認める場合には,ポリープ数,組織型,大腸癌の発症年齢,遺伝形式,大腸以外の消化管ポリポーシス,大腸外腫瘍性病変等からある程度疾患を推定できる.LSの診断にはDNAミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列における病的バリアントの同定が必須である.一部の欧米諸国では全大腸癌を対象としたuniversal tumor screening(UTS)が推奨されているが,本邦におけるUTSの有用性は明らかではない.リンチ症候群確定者の大腸癌の術式にコンセンサスは得られていない.大腸癌術後あるいは大腸癌未発症者に対しては,定期的な大腸内視鏡サーベイランスが推奨される.LSのスクリーニングから遺伝学的検査の過程で,いくつかの鑑別すべき疾患や様態が存在することに注意が必要である.

キーワード
遺伝性大腸癌, リンチ症候群, 家族性大腸腺腫症, 消化管ポリポーシス

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