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日外会誌. 119(1): 33-40, 2018


特集

医療の質向上のための取り組み―心臓血管外科―

5.経カテーテル的大動脈弁置換術

大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科,経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会委員 

澤 芳樹

内容要旨
先進諸国では人口の高齢化を背景に大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis:AS)患者が急増しているが,ハイリスク患者に対する低侵襲治療として経カテーテル的大動脈弁置換術(Transcatheter Aortic Valve Replacement:TAVR)が登場した.国内でも2013年にバルーン拡張型のTAVRデバイスが初めて保険償還されたが,当時諸外国の報告から,同治療の有効性は確認されていたものの,術中合併症を中心に安全性に関しては満足のいくものではなかった.そのためTAVRの国内導入にあたっては,大動脈弁位にカテーテルを用いて人工弁を植込むという新規コンセプトの治療であるTAVRをいかに安全に導入するかが最大の課題であった.それを達成するため,厚生労働省および医薬品医療機器総合機構(以下,PMDA)の指導の下,関連4学会からなる経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会 (以下,関連学会協議会)が発足した.関連学会協議会では実施施設基準を策定し,必要とされる診療実績に加え,適応決定から手技,周術期管理に必要な機能的なハートチームの形成や,レジストリの全例入力,弁置換と同等の清潔度をもつハイブリッド手術室の設置等を要件として挙げた.現在国内でも急速にTAVRが普及しつつあり,累計の症例数は8,000を超えるが,導入初期1,004例の成績は30日内死亡率で1.4%とたいへん良好なものであった.学会,医療機関,行政,企業が一体となって行われた本邦のTAVRの導入は安全なものであったと考えられた.

キーワード
経カテーテル的大動脈弁置換術, 経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会, ハイブリッド手術室, ハートチーム, TAVRレジストリ

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