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日外会誌. 119(1): 12-17, 2018
特集
医療の質向上のための取り組み―心臓血管外科―
2.日本心臓血管外科学会における今までの取り組み
内容要旨1990年代後半から,心臓外科手術に関連した死亡事例が続発した事案については,国内外で注目されてきた.日本心臓血管外科学会は学術団体であるが,医療安全管理委員会を設けて専門職能団体の立場から,心臓血管外科領域の医療事故事案の院内医療調査委員会に外部委員を推薦して,原因究明を行い,再発防止策を提言してきた.
心臓血管外科専門医認定機構は,日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本血管外科学会の3学会が合同で2001年に設立した.専門医の基準は,専門知識や学術業績,学会参加歴に加え,手術技能の修練実績(難易度別の手術経験数など)を重視して構築している.なお,日本外科学会による外科専門医制度を基盤としたsubspecialtyの専門医制度であり,両方の専門医制度の連携を重視したものである.この手術実績の提出には,National Clinical Database(NCD),日本心臓血管外科手術データベース(Japan Cardiovascular Surgery Database:JCVSD)が活用できる.
心臓血管外科医療の質の向上に向けて,日本心臓血管外科学会には,「データベース・医療の質委員会」を設置している.NCDとJCVSDには,フィードバック機能が充実しており,自施設の各種領域の手術成績のベンチマークが可能となっている.そこで,2013年から,JCVSDの分析をもとに改善の余地があると考えられる数施設を本学会の理事数名が訪問して,死亡事例検討会の形式で改善策を提案することも実施している.さらに2016年からは,web上でコンサルテーション機能を構築し,運用を開始したところである.
キーワード
院内医療事故調査, 心臓血管外科専門医制度, データベース, 医療の質向上
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